【 中小企業の2025年問題 】:Foresight ~専門家が見る世界~ 第9回

つい先日ショッキングなニュースが飛び込んできました。京都で学生時代を過ごした私もよく通った京都の老舗喫茶店チェーン、イノダコーヒが9月27日、投資会社アント・キャピタル・パートナーズ(東京)が運営するファンドに株式を譲渡したと発表しました。後継者がいないため、事業承継を目的としたものとされていました。社名は維持され、店舗の営業は継続します。

このケースは、事業が引き継がれ、社名も店名も残るのでまだいい方でしょう。誰にも見向きもされない、あるいは相談するところがなければ、引き継がれることなく、廃業という道を辿ることもあります。いま全国でこんなことが起こり始めています。

2025年までに、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人(日本企業全体の1/3)が後継者について「いない」もしくは「未定」だという数字が出ています。そして、そのうちの約半数の60万社は黒字経営なのです。この現状を放置すると、中小企業・小規模事業者の廃業の急増により、2025年までに累計650万人の雇用が失われ、約22丁円のGDPが失われる可能性があるというのです。

2021年より各都道府県に事業承継・引継ぎ支援センターという事業承継専門の相談窓口が設置されています。奈良同友会にも、弁護士、会計士、税理士、社労士、行政書士など士業が集っている「専門家チーム」という組織が今年度より発足しています。

まずはお気軽に奈良同友会事務局にお問い合わせください。

 

執筆者:かなえ経営株式会社 佐野 元洋