リスケ(借入金の条件変更):Foresight ~専門家が見る世界~ 第7回

【 リスケ(借入金の条件変更) 】

 

15年以上前に、金融機関に「借入金が返せません」と言っていいのだと衝撃を受けた覚えがあります。2009年に「金融円滑化法」で「リスケ」が一般的になったと記憶しています。

コロナ融資の返済が始まり、深刻な問題になっている人もいるかもしれません。顧問税理士がいるならできる限り早く相談してください。残念ながら、いい返事が頂けない場合があります。その時は、メイン銀行に相談ください。よほどのことがない限り検討いただけます。それも反応が悪いのであれば「新型コロナ特例リスケジュール支援」という公の制度がありますから、奈良県中小企業活性化協議会(0742-24-7034)に相談してください。

リスケすると以下が心配だといわれます。

1 リスケがばれると信用不安をまねく

税理士、金融機関、協議会に対しては一般の人以上に守秘義務が課されています。

2 新規の融資が受けられない

リスケを一番禁忌する理由です。たしかに、新規融資を受けることができませんが、1年程度元本の返済が猶予されれば、新規融資以上の金融支援効果があると思います。

3 リスケにあたっては様々な書類が要求される

新型コロナ特例リスケジュール支援であれば、十分な書類がなくても元本の支払を止めていただけます。その後、「改善計画書」など必要書類の作成支援があります。費用がかかる場合がありますが、国等がその一部を負担します。そもそも、これらの書類はリスケのために必要な書類ではなくて、事業を行っていくために必要な書類だと思います。

従業員、取引先、金融機関、皆さんの事業に関わる人は誰一人倒産を望んでいません。このコロナ禍のなか「一社もつぶさない」ためにも「リスケ」という選択肢を知っておいてください。

 

執筆者:税理士法人 縁(えにし) 松尾 兼裕