【中小企業にとっての「ビジネスと人権」の重要性 ―中編―】
- 中小企業にも無関係ではない
「ビジネスと人権」は大企業の問題だと考えていませんか? 実は、中小企業こそ深く関係しています。
多くの中小企業は、大企業のサプライチェーンの一端を担っています。近年、大企業が取引先の人権リスクをチェックする動きが活発になっており、「人権デュー・ディリジェンス」と呼ばれる調査プロセスを通じて、取引の継続を判断するケースも増えています。つまり、人権に無関心な経営は、今や「取引の停止」という形で実害に結びつくリスクを抱えているのです。
また、消費者や地域社会の目も厳しくなっています。SNSやメディアの発達により、企業の不適切な対応が瞬時に拡散され、炎上や不買運動に発展することも珍しくありません。中小企業であっても、誤った広告表現や従業員の不適切な対応が原因で、信用を失う可能性があります。
- 経営面へのプラス効果
人権への配慮は「義務」や「コスト」と考えられがちですが、実は「経営資源」として活用できる側面もあります。
たとえば、以下のような効果が期待できます。
■採用力の向上…若い世代を中心に、働きやすい職場や社会貢献に関心の高い企業を志望する傾向が強まっています。人権尊重の姿勢を打ち出すことで、優秀な人材の確保や定着が期待できます。
■顧客の信頼獲得…エシカル消費(倫理的消費)の考え方が広がる中で、人権に配慮した製品・サービスを提供する企業は、顧客からの評価が高まり、ブランド価値の向上につながります。
■生産性向上…働く人の満足度が高い職場では、モチベーションやエンゲージメントが高まり、生産性の向上にも寄与します。
次回へ続く