【離職やモチベーション低下、どう防ぐ?】Foresight ~専門家が見る世界~ 第33回

「ちょっと話そか!」 1on1で始める強い組織づくり
第2回:1on1は、なぜ中小企業にこそ効くのか?
「1on1なんて大企業のやること。うちみたいな小さな会社には関係ない」と思っていませんか?
確かに、1on1はもともと人材開発やエンゲージメント向上を目的とした大企業の取り組みとして知られてきました。しかし、実は仕組みや制度が充分整備されていない中小企業にこそ、1on1は効果を発揮します。
その理由は主に三つあります。第一に、制度や福利厚生ではカバーしきれない不安や不満を、「対話」でフォローできる。第二に、上司や経営者と従業員との距離が近い分、1on1での気づきがすぐに現場改善につながるという即応性。第三に、一人の不調や離職が業務全体に与える影響が大きいため、小さな変化やサインに早く気づく必要があるという点です。
1on1では、特別な準備もツールも必要ありません。「最近調子どう?」「困ってることある?」といった短い問いかけから始めれば十分です。むしろ構えずに、普段の延長線で行うほうが、従業員も気負わず本音を話せるもの。ここで重要なのは「話を聴くこと」に徹することです。アドバイスや評価ではなく、相手の言葉をそのまま受け止めることで、信頼が育っていきます。中小企業だからこそ、一人ひとりの声を拾える土壌がある。1on1は、その土壌を活かす有効な習慣なのです。
次回は、1on1を無理なく続けるためのルールと工夫をご紹介します。  次回へ続く

(Deerline Lab. 浅野 郷子)