【最近よく聞かれる「人的資本経営」とは(前編)】:Foresight ~専門家が見る世界~ 第19回

【 最近よく聞かれる「人的資本経営」とは (前編) 】
このところ人的資本経営という言葉がよく使われています。

あらためてどういうことなのか、前・後編に分けて説明していきます。
1.人的資本経営とは?
人的資本経営とは人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことにより、中長期的な企業価値の向上につなげる経営の在り方を指す言葉です。人的資本経営が注目されるきっかけの1つに「人材版伊藤レポート」があります。人材版伊藤レポートとは、経営戦略や人材戦略の連動によって、持続的な企業価値の向上に向けた人的資本経営のあり方がまとめられ2020 年9 月に公表されたレポートです。経済産業省のホームページでも公開されておりますのでご興味のある方はご覧ください。

2.人的資本経営が注目されるわけ
伊藤レポートが注目されるきっかけと触れましたが、日本では、2023 年3 月期決算から上場企業などを対象に人的資本の情報開示が義務化されています。具体的には金融商品取引法第24 条における「有価証券報告書」を発行する約4,000 社の大手企業が対象です。具体的には次のような内容を開示する義務があります。

・人材育成:リーダーシップ、育成、スキル/経験
・エンゲージメント:エンゲージメント
・流動性:採用、維持、サクセッション
・ダイバーシティ:ダイバーシティ、非差別、育児休業
・健康・安全:精神的健康、身体的健康、安全
・労働慣行:労働慣行、児童労働/強制労働、賃金の公平性、福利厚生、組合との関係
・コンプライアンス:コンプライアンス/倫理。

次回は、中小企業にとって「人的資本経営」がどのような意味を持つのか、その推進ポイントと合わせて解説します。
(ナラティブサポート 上村 拓也)