【ビジネスと人権(前編)】:Foresight ~専門家が見る世界~ 第13回

【 ビジネスと人権 (前編) 】

「ビジネスと人権」というテーマについて、近年、関心が高まっているのをご存じでしょうか。一言で言うと、自社のビジネス活動が人権に与える影響を認識し、人権を尊重する立場で事業を進めましょう、ということです。

国際的な枠組みとしては、2011年に国連が策定した「企業と人権に関する指導原則(指導原則)」があります。また、日本でも2020年に「ビジネスと人権に関する行動計画」が策定されています。

ビジネスと人権に関する行動計画

ビジネスと人権の関連性は、中小企業にとっても重要です。なぜなら中小企業の活動も、社員、取引先、そして地域社会に影響を与える存在であり、その活動の中で、人権を尊重する社会的責任を果たす必要が求められるからです。

たとえば、正社員のほかにパート・アルバイトがいないと回らない、という会社も多いと思いますし、女性、障がい者、外国人といった多様な人が企業で働くようになると、様々なハラスメントや差別が起こる可能性があります。法改正で「ハラスメント防止」が義務化されたことや、「男性育休取得」等をめぐって「マタハラ、パタハラ、ケアハラ」が心配されていることなどと合わせて想像していただくと、「わが社は大丈夫」と言いきれる社長は多くないのではないでしょうか?

また、そもそも労働者自身の権利が守られなければ、労使トラブルが起こったりして、その会社で働いてくれる人がいなくなり、究極、企業の存続すら危うくなる、といったことも想定されます。こうしたことは、中小企業の経営者であれば、危機感を感じていることではありませんか?

次回は、具体的な取り組みポイントを解説します。

((株)OFFICE KITABA 北場 好美)