若者がいきいきと働ける奈良に向けて
○11月26日(火)第4回産官学金交流会 開催報告
奈良同友会では、昨年より「若者がいきいきと働ける」奈良を実現するため、高校や大学などの地域の教育機関や行政・金融機関にも呼びかけ、各組織の取組や課題について意見交換する「産官学交流会」を定期開催しています。毎回、地域の各機関が胸襟を開いて語り合い、連携をしていくことの重要性を確認するとともに、連携を通した課題解決の糸口をつかむ場となっております。
当日は、奈良県庁、ハローワークなどの行政機関、金融機関、大学関係者、同友会会員を含めて39名が参加しました。
交流会では、奈良同友会会員が登壇し保護者を対象に開催した「10/6天理大学進路相談会」、中学生に「働く楽しさ」「仕事のやりがい」を経営者が語る「10/31平城中学校ゲストティーチャー」などの開催報告、各機関の取り組みの紹介の後、「奈良で若者がいきいきと働ける地域づくりに向けた連携」についてグループ討論を行いました。
奈良同友会では、2月25日(火)にも第5回の交流会を企画しています。さらに連携の輪を広げ「地域で若者が育ち、いきいきと働ける」奈良に向けて引き続き取り組んでいきます。
○参加者
奈良同友会19名
奈良県庁3名、ハローワーク奈良1名
奈良信用金庫2名、大樹生命2名
帝塚山大学1名、奈良学園大学1名、天理大学1名、御所実業高校1名、
東登美ケ丘小学校1名、登美ヶ丘中学校区地域協議会1名 、学生3名
(福)寧楽ゆいの会1名、香芝市商工会1名、会外経営者1名
〇参加者からの発言要旨
(同友会)
・(10/6天理大学進路相談会について)
働くのは「お金のため」「食べるため」で、働くことの意義を考えたこともなかったという保護者の声が聞かれた。今までの人生を振り返り、子どもに「働くこと」を伝えられていたのか、ショックを受けておられた保護者もおり、様々な気づきのあった有意義な会となった。
・(10/31平城中学校ゲストティーチャーについて)
会員が講師となり7講座を実施、仕事の「楽しさ」「やりがい」について学ぶ授業を行った。当日は授業参観も合わせて開催され、働くことの意義を保護者と子供とが深める機会となった。
・同友会の求人冊子「ナラワク」を作成中。掲載企業の社員に「中小企業で働く良さ」についてもインタビューしている。社員は「社風が自分に合う」「自分の力を発揮して社会に貢献できる」などポジティブな回答が目立った。「奈良にも魅力的な中小企業がある」「働くことの楽しさ・やりがい」を「ナラワク」を通して奈良の若者に発信していきたい。
(同友会外の事業者)
・世間で「働くこと」についてマイナスなイメージが強いと考えている。子どもたちを対象にお仕事体験のイベントをしているが、実際に仕事に触れることで興味が湧いてくる。地域の「働く大人」が仕事の魅力を発信して、気運を盛り上げることが必要。
(行政機関)
・奈良県の県外就業率の高さが長年課題となっており、同友会と連携して「若者がいきいきと働ける」奈良をつくるため、奈良の良い会社を紹介したいと3/12に「奈良で働く」を考えるイベントを開催した。
・地域のSDGs認証制度の構想を練っている。企業努力を目に見える形で顕彰し地元企業を盛り立てていきたい。
・地域の企業と若者との接点をつくるため、地域の企業をバスで回るツアーを企画した。
(教育機関)
・地元の企業と連携して子どもたちへのキャリア教育を展開したい。子どもが地域の会社や社長を知り、地域が好きになり、地域で働きたいと思う子が出てきてくれればいい。
・キャリア教育は就職のためではなく、将来自立した大人になるための資質を育てるためにある。
働く大人と子どもが触れ合うことで、子どものコミュニケーション能力、課題解決力、社会的視野が広がるのでキャリア教育が大切。
・学生は「仕事」についてピントきていなくて、具体的に考えられていない。地元の企業と協力して、本気の大人の「仕事」についての話を聞かせて学生にエネルギーを与えていきたい。
・自校では6割の学生が卒業後に就職をしている。先週、県庁主催のバスツアーに2年生の生徒が参加し、生徒からの評判も良かった。生徒たちも色々な仕事について知りたいという意欲がある。
・学生は自分の弱さを含めて他人に開示できる環境が大切だと考えている。そういった環境を会社でつくってもらえれば。困った時に相談し合える社風があれば学生も安心するだろう。
・(10/6天理大学進路相談会について)
同友会の経営者と学生の保護者を交えてグループワークを行ったが、来年もぜひ行いたい。直に話し合うことで、互いに理解し合い、立場を越えて分かり合えることがあると感じた。
(大学生)
・社会人の方から就職活動の生の声を初めて聞いた。ネットでは、「働くのは罰」「しんどい」といったネガティブな情報があふれている。「仕事」「プライベート」を分けて考えるのではなく、自分の人生でしたいことと働くことを融合させることが大切だと思った。
○グループ討論を受けての発表
①地元で働きたいという若者が一定数いるが、今はそのニーズにきちんと応えられていない。会社も行政も教育機関も動いて、こういった交流会で情報共有して接点をつくることが大切。
②地域の大人と関わることで、子どもたちは地域に愛着も生まれる。コミュニケーション力も鍛えられる。地元の中小企業のお仕事展などの企画ができないだろうか。
③仕事の「辛さ」「大変」な側面だけでなく、「楽しさ」「やりがい」を伝えていかないと若者は仕事を続けていけない。
④学生は意外と物事をフラットに考えている。業界の固定概念に固まっていている自分たちに課題があるのではないか。子ども、学生に触れる機会を持つことで業界のイメージを刷新していければ。
(奈良同友会事務局 渕上 芳昭)