孫七瓦工業(株) 清水 良洋 氏~「VOICE・この人 この声」第30回

会報誌インタビュー「VOICE・この人この声」では、「会員企業は辞書の1ページ」という同友会らしく会員の等身大の声をお伝えしています。

孫七瓦工業(株) 代表取締役  清水 良洋 氏


当社は1694年の創業で瓦製造から瓦工事・屋根工事やリフォーム業へと事業を広げていきました。現在は役員2名、正社員6名、パート社員1名の計9名で仕事をしております。

「自己流」からの脱皮:経営指針書との出会い

2007年に同友会へ入会後、2009年に青年部の基礎講座を受け、自己流で経営指針書を作成しました。「自分が分からないところが学びになる」という思いで同友会で学んでいる中、2012年より経営労働委員会に参加し、指針セミナーの受講を勧めてもらいました。自分なりで作った経営指針書があり、自己流を指摘される不安もあり気が進みませんでしたが、当時委員長の川端運輸の川端章代さんや、まごころプランニング米井さんに背中を押してもらい参加しました。そこで講師の藪さんの話を聞き、経営指針書が「自分が思っていたものとは全く違う」と感じて、現在の本格的なものに作り替えました。

全社一丸の経営へ!社員と育む「行動する指針」

指針セミナーを受講した際に米井さんが自社で発表会を開催したことに刺激を受け、当社も2014年に経営指針発表会を開始しました。役員社員に加え、顧問税理士、取引金融機関、同友会会員も参加してもらい、経営理念の唱和、経営者による発表、そして社員による部門別行動計画書・個人目標チャレンジシートの発表、さらに表彰式を実施しています。 社員の決意表明は外部からも高く評価されています。毎年4月には、勤務時間中に全社員で次期の経営方針策定会議を一日かけて行い、決定した方針に基づき、各部門と個人が行動計画書を作成・発表します。さらに月次の全社会議で前月の振り返りと今月の目標発表を行い、PDCAを回しています。この取り組みを通して、経営指針の存在や会議・発表会が「当たり前の企業文化」となりました。

他者との出会いが導く、経営者の成長と会社の変革

経営指針書は「書いて終わり」ではなく全社で実践するものだと気づいてからは、社員との「共育ち」を目指し、ていくあいの竹村さんと共に2015年頃から共育委員会にも参加しました。共育委員会での学びを通じて、経営指針と共育は車の両輪であると確信を深めました。さらに、より良い会社を築くには、経営者自身の自己姿勢の確立と人間的成長が不可欠であると気づき、大和化学工業の平山 雅英さんやかなえ経営の佐野さんが主宰する人間学の勉強会にも参加しています。リーダーが成長し続けること、そして社員との共育ちを培っていくことで、会社は変革していくと確信しています。

経営指針書は会社と未来を紡ぐ「私たちのバイブル」、経営指針書は当社にとってまさに「バイブル」です。経営者には、書いたことを社員に向けて実践する責任が生じ、社員もまた、設定された目標達成に向けて主体的に取り組むようになります。経営指針書は会社の未来を明確にし、その実現に対して経営者と社員が互いが責任を持って取り組むための「道しるべ」です。

執筆者:株式会社office masui 益井 貴生