2023年4-6月期 景況調査分析報告

【概要】
2023 年4 月~6 月期に行った景況調査は、117 件の有効回答を得た。それらのうち、DI 値、経営上の問題点、特別項目として調査を行った「価格転嫁」と「賃上げ」についての結果を表している。
DI 値については、売上、利益、採算、景気動向のいずれの項目もDI 値はプラスである。しかしながら、2022 年第4四半期と同様に、売上の伸びと比較して利益のDI 値は小さく、物価上昇に伴う価格転嫁を行えたとしても、利益を十分に確保する水準には至っていないと推察できる。
特別項目の「価格転嫁」については、原材料はある程度転嫁できているものの、エネルギーと人件費は十分ではなく、その規模ともいえる転嫁割合を見ると、転嫁できている企業と転嫁できていない企業に二極化されていることが明らかになった。特に、製造業において転嫁できていない(0%)の割合が高い点も課題である。転嫁できた理由としては、「取引内容変更による実質的な価格転嫁」「原価を示した価格交渉」「取引先の理解・協力」などが高かった。
「賃上げ」については、賃上げの見通しは「例年以上に賃上げする」が29.9%とかなり高い割合である。また、その理由として、「人材確保」「物価高への対応」「士気向上」が最も高く、業績向上による良い好循環ではなく、企業としてやむにやまれる状態で行われていることが分かる。賃上げ方法は基本給の引き上げが最も高い。賃上げ額は全産業平均で8,074 円、賃上げ率は2.98%となっている。これらの賃上げに対する原資については、十分とはいえない、ほとんどないで4割近くある。特に製造業のほとんどない の割合は非常に高く、次年度以降の賃上げの困難さの表れと考えられる。