奈良座談会「奈良の経営者×奈良労働局」若者たちへのメッセージ

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① 会社選びで大切なこととは?

北村今年、労働局が実施した若い人から就職氷河期世代ぐらいまでの求職者を対象にしたアンケートによると、過去の退職の理由で一番多かったのが「人間関係」です。
「将来が見えない」「キャリアビジョンが見えない」などが出てきます。
もちろん、給料や休日などの条件面とかもありましたが、やはり「人間関係」が一番です。

中野「人間関係」と聞くと、「肌が合わない」「うっとうしい人」などをイメージするかもしれないですが、そういった表面的なことではなく、もっと深いところ、例えば、主体的に勉強しようとする会社であれば、主体的に勉強する仲間が集まってくるので、自分が勉強したいなと思った時に、「がんばってるね」「僕はこんな勉強してるよ」とか後押ししてくれる仲間がいて人間関係もよくなります。

これが、勉強にあまり熱心でない会社だったら、「勉強なんか何でするの?」「そんなマジなことしないで、飲みに行こうぜ」とか言われたりするわけです。
そして、本人は勉強したいのに、人間関係が合わずに辞めることになってしまいます。

単に肌の合う人がいるいないではなく、その会社が大切にしている考え方である理念やビジョンがしっかりある会社であれば、その理念に共鳴して「働き方・生き方」のスタンスが近い人たちが集まってくるから結果的に心地よく働ける、これが大事なことです。
会社選びでは、給料・休日などの条件面以外の部分も見るようにしてほしいです。

益井条件面は入社したら気にならなくなることもありますよね。
弊社はWeb制作、Web維持管理事業を手掛けていて、年間休日が125日ありますが、これを多いという人や逆に少ないという人もいて、感覚的なもののような気がします。

大切なのは、「何のために仕事をするのか?」「125日の休日は何のためにほしいのか?」をしっかり考えることだと思います。
自分のビジョンがない中で給料・休日などの数字だけで会社選びをするとミスマッチが起きてしまします。
求職者は「自分が何をしたいのか?」「何のためにやりたいのか」と目的を持つことで自分に合う会社にマッチングするのではないでしょうか。

太田「自分がどういうときに元気になれるか」「仕事していて楽しかったこと、嫌だったこと」は、人それぞれだと思いますが、再就職をサポートする際には、本人の楽しかった時のイメージに焦点を当てて、本人がどういった状況になれば前向きになるかを考え、「次に行く会社では、こういうことを共有できないとしんどくない?」というのを結構言うようにしています。
本人も「そうですよね」となると、その方は次は条件面ではなく、自己分析をふまえた仕事探しをするようになるので、こちらから「事業所の特徴」「理念・ビジョン」「社長の想い」などを伝えると安心もされます。
就職が決まった際の声色や表情が良くなります。

中野重要ですね。学生さんも自己分析はすると思いますが、その重要性をどれだけ理解してるかですね。
つまり、自分でいい環境をつくっていく努力、就活の段階では、自分が何を大事にしているのかを深めて、それに合う会社を探すということです。

太田自分に合う会社を探す努力をするようになると視点が変わり、「理念」「自分がやりたいこと」などが基準になり、マッチングしやすくなってきます。
条件面で探すと条件面で引っかかるだけです。
我々も事業所の想いや理念をもっと知り、求職者に伝えられるようにしていきたいです。

森岡給料や休日などの条件面だけで会社を選ぶと人間関係が合わないこともあるでしょう。
しかし、「自分は何をしたいのか?」としっかり自身を深堀りして会社選びをしていれば、多少性格合わない人がいても、その会社がいいと思っている人が集まってるので、「あの人は性格気に入らないけど、仕事で言ってることは理解できる」となって仕事では協力できたりします。

中野「人間関係」というと、「一緒に飲みに行ける」「笑いの感覚が一緒」とかを連想するかもしれませんが、人間関係で大切なのは、「自分のやりたいこと」「会社のやりたいこと」「仲間のやりたいこと」が合ってることですよね。
であれば、多少合わない人がいても仕事で楽しさは感じられます。

北村早く内定をもらって安心したいという気持ちも分かりますが、やはり、会社選びの際にしっかり時間をかけてほしいですね。
勇気を出してインターンシップで会社に行き、社風・雰囲気を体感してみようという学生は大丈夫ですが、そこまで前向きになれない学生もいます。
そして、ついつい楽してネットのマッチングサイトで調べて就職先を決めてしまい、結局、合わずに辞めてしまうというのもあるのではと思います。

中野ハローワークの担当者は、3ヶ月を再就職期間の目安として求職者をサポートされていると聞きました。
インターンシップはたいてい5日間で、一日あたり数時間、合計何十時間を費やすことを考えると、最初の就職の際に自己分析をしっかりして会社選びをするのが、再就職に3ヶ月かかるよりよっぽど効率的ですよね。

以前に訪問した専門学校では、一年生の夏休みと春休みにそれぞれ5日間のインターンシップが必須でした。
それだけ事前に会社の様子を見たら会社と自分のミスマッチがないかがわかるのでこの専門学校の学生は離職率は低いだろうなと思いました。

森岡仮に二つの会社にインターンシップに行って、二つとも合わなくても、「何が自分に合わないのか?」を学習できますよね。
自己分析も深まるでしょうし三社目を選ぶときのマッチング率が高くなるのではないでしょうか。

② 仕事の面白さとは?

益井私が社会人になったばかりの時は、自分の仕事が誰かの役に立ってお金をもらえるのが楽しかったですが、最近ではチームで成果を達成するのがめちゃくちゃ面白いです。
ある社員ががんばって定期的に会社のメルマガを出してくれたことで、そのメルマガをきっかけに仕事が決まったことがありました。
依頼を受けた際にみなで喜んで「やったね」となりました。
ああいう瞬間はすごく楽しいです。

森脇私は父が経営していた映像制作会社を受け継いだのですが、映像の世界は全くの未知の世界で、最初はまったく仕事がうまくできなかったですが、続けていくうちにできるようになりました。
3年やっていれば体が自然と動き仕事を覚えるようになり、お客様からの喜びの声も入って仕事が楽しくなってきます。
すると、「もっと喜んでもらいたい」と自分で工夫するようになりさらに成長するようになりました。
今は、自分が体験したそうした経験を社員にもしてもらえる環境を整えたいと考えています。
誰しも得意なことや経験は違うので、その人の持ってる武器で最大限お客様に喜んでもらえる会社になればうれしいです。

中野みんなでがんばって、みんなで結果出して、役に立ってありがとうと言ってもらえたら最高ですよね。

太田私が若い時は、自分の提案が受け入れてもらえない歯がゆい気持ちでイライラしながら仕事をしていましたが、昇進してある程度権限を持つと分かったのですが、自分の思うように仕事をするのも簡単ではないんです。
職場では皆考えが色々なので自分の想いだけでは仕事は回りませんから。
色々な考えがある中で「どうすれば理解してもらえるか?」を考えながら仕事をして、やっと物事ができあがると「やったね」という喜びがあります。
マネジメントで喜びを感じる、現場で専門性を発揮することで喜びを感じる、それは人それぞれですが、大切なのは、自分はどうしたら前向きになるのかに気づくことだと思います。

中野一般的な風潮で管理職は大変と思われがちです。
私も最初は現場から働き始めましたが、マネジメントのほうができることが大きいと思います。
「自分らしく生きたい」「自由に仕事をしたい」と考える人の割合は多いと思いますが、それをしようとすれば、自分でやりたい環境づくりができるマネジメント側にいなければなりません。
「自分らしく生きたい」でも「管理職にはなりたくない」っていうのはとても矛盾してると思います。

③ 奈良で働くことの良さ・魅力とは?

森岡私は建設会社を経営していて、公共や民間の建物のをををしています。なので弊社の仕事は「地図に関わる仕事です」と説明しています。
建造物は長く残るので地域のお役に立てることができます。
東京や大阪とと比べると、奈良は建物の数が少なく、埋もれにくく、目に見えて形に残るので人に伝えた時にすごいと言われることが多く非常にやりがいがあります。

北村二面性があると思います。
地元が奈良の人は、山上さんの言うように地元のお役に立てることができる。
他府県から奈良に移住した人にとっては、大阪や京都へもアクセスしやすいコンパクトな地域で、一つの仕事を深く地域に根差してやっていける良さがあると思います。

中野これが島根や愛媛でもいいですけど、地域で働くから地域のために深く仕事をしようという視点があったらいいですね。
奈良で働くのであれば、奈良の地域のみんなが喜んでもらえる仕事をしていただきたいです。

北村また、地元のために働いていると、「こんな面白い地元にしていこう」と共鳴し、地元で新たなつながりや出会いがあって、仕事のフィールドが広がりもっとやりたい仕事ができるようになると思います。
そうなったら絶対面白いですよね。

執筆者:奈良県中小企業家同友会 事務局

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